刻み葱

飲食

 先日、妻と地元にある日本蕎麦屋に入った。ふたりとも更科蕎麦(わたしはカツ丼セット、妻は蕎麦大盛り)を注文した。しっかりしたコシのある蕎麦とわたし好みの甘口の蕎麦汁が気に入った。

 蕎麦は、更科・南部(田舎)・石臼(挽きぐるみ)・韃靼ダッタンの4種類から選ぶことができ、特にお店こだわりの一品はないが、いつでもお気軽に入れる、わたしの等身大にぴったりな昔ながらの日本蕎麦屋だ。

 そして、昨日はひとりでこの蕎麦屋で昼食を取ったのだが、正午半頃にお店に入ると、小上がり3卓12席、テーブル4卓16席の店内はほぼ満席だった。なるほど、この界隈では評判の良い日本蕎麦屋みたいだ。わたしの味覚もまだまだ捨てたものではない←自画自賛。

 店内は昭和を感じさせる雰囲気の中、テーブル1卓だけアラフォーと見られる男性客ひとりが座っていたので、わたしはこのテーブルに相席となり、天ぷら蕎麦を注文した。

 しばらくすると隣のテーブルが空き、年配の女性店員(以下、店員さん)から、

「こちらへお移りください」

 と、促され、わたしはそのテーブルに移った。店員さんのちょっとした気遣いが嬉しい。

 テーブルを移ってから注文した天ぷら蕎麦を食べていると、アラカンくらいの男女がお店に入ってきて、小上がりに座り、男性客は鴨南蛮蕎麦、女性客は玉子とじ蕎麦を注文した。

 実は、わたしは注文時に玉子とじ蕎麦も気になっていた。天ぷら蕎麦にするか玉子とじ蕎麦にするか迷ったのだ。

 よって、この男女に鴨南蛮蕎麦と玉子とじ蕎麦が運ばれてきたとき、どんな玉子とじなのか、わたしは箸を休めて女性客に出された玉子とじ蕎麦を、井之頭五郎のようにして遠目で興味津々に覗き込んだのだが、残念!視力の低下と女性客の上体の影が丼を覆い、中身を目視することができなかったのだ。次回は玉子とじ蕎麦を食べるとしよう。

 さて、わたしが食べるのを再開すると、男性客が、
「すみません」

 と、店員さん呼んだ。

 店員さんは、昼時で忙しかったこともあり、厨房前のカウンターに下がって、他のお客に蕎麦を出し、食べ終わったお客の会計を済ませ、片付けをした後に、男性客のところに行くと、男性客は、

「刻みねぎがないんだけど」

 と、店員さんに言った。

 店員さんは、穏やかな口調で、
「はい、南蛮が葱ですので、鴨南蛮には刻み葱は付きません」

 と、丼の中の葱を示しながら答えていた。

 すると、男性客がキョトンとした表情をしたので、店員さんは気を利かせて、

「刻み葱をお出ししましょうか」

 と、言うと、男性客は、

「うん、頂戴よ」

 と、答えていた。

 わたしは蕎麦をすすりながら、このやり取りをチラ見していたが、確かに南蛮とは葱のことだし、同じ葱の刻み葱を出さないのは理に叶っている・・・と、思ったのだが、あれ?あれれ??過去にあちらこちらの日本蕎麦屋で鴨南蛮蕎麦を食べているが、どのお店でも刻み葱は付いていたような気がする。

 それに、丼に入っているぶつ切りの焼き葱は具材で、刻み葱は薬味だ。鴨南蛮蕎麦でも刻み葱は付けていいのかなぁと思うのだが、このお店で鴨南蛮蕎麦を注文するときは、刻み葱も注文しないと付いてこないってことか。

 因みに、カレー南蛮蕎麦に刻み葱が付いてくるが、わたしは、

「え!うそ!?カレーに刻み葱乗せるかよ」

 なのだ。

 しかし、妻は、

「薬味なんやから、付くに決まってるやろ。入れたほうがおいしい」

 と、言うので、どっちでもいいか。

(-。-)y-゜゜゜

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