音楽は過去に向かって進行する

音楽

 先週末、妻と『マナツの異種LIVE』を観に、二子玉川Gemini Theaterへ行ってきた。演者は「THE Pirates」と「遊民族」の2バンド。遊民族のメンバーのGuitarとPercussionは、高校時代から今も付き合いがある友人で、老けても変わらぬふたりの演奏を久しぶりに楽しませてもらった。

 THE Piratesのボーカル曰く、「最近はロカビリーよりリハビリ」に重きを置く年齢のバンド(Keyboardは除く)になったようだが、ロカビリーの小気味よい軽快なリズムは心地よく、特に会場にいた年配の人たちには、幼少や10代の頃を思い出したのではないだろうか。ロカビリーブームが過ぎてから生まれたわたしでさえ、ローハイドを聴いたときはノスタルジーを感じた。

 遊民族は、名前の通り、ユーミンの曲をメインに活動しているバンドで、わたしは遊民族のライブは今回で3回目だが、昨夜はユーミンのアルバム『PEARL PIERCE』の曲を披露した。

 『PEARL PIERCE』がリリースされたのは、1982年6月21日。わたしが短大1年の時で、同じ学科に、荒井由実の頃からユーミンの大ファンの友人がいて、ユーミンの曲ならピアノの弾き語りがほとんどできた彼は、早速『PEARL PIERCE』のLPを購入すると、ピアノの練習館では、レッスン曲の練習はそっちのけで、『DANG DANG』を弾き語りでよく歌っていたのを思い出す。そして、彼の影響からわたしもユーミンの曲を聞くようになり、今でも『DANG DANG』はカラオケで妻に歌ってもらうことがあるが、彼は今どうしているのかなぁ。

 遊民族はアンコールで『Hello, my friend』を披露したが、そうそうこの曲は、ずーっと前に放送したテレビドラマのオープニング曲だったんだよなぁと、思い出し、筒井道隆主演のラブストーリーで共演の瀬戸朝香は思い出せたのだが、もひとりの俳優の名前が出てこない。顔はしっかり覚えているのだが、名前がどうあがいても出てこないのだ。そして、その俳優のお父さんは有名な俳優なのだが、こちらも名前をド忘れしてしまい、妻に、
「元プロ野球選手の東尾の娘と結婚した俳優の息子の名前、何だっけ?」

 と、そこまで遡り聞き及ぶことになり、
「いしだ壱成」

 と、一言一句誤りのないご名答をいただき、スッキリしたが、『Hello, my friend』を聞くと、前出の3人が出演したドラマ『君といた夏』を見ていた頃の自分を振り返るのである。

 さて、タイトルは、ポール・サイモンがさだまさしに言った言葉だ。

 ポール・サイモンの、
「たかが音楽 いつでもやめられる」
 と、言う言葉がプレイボーイのインタビューの小見出しに載っていたのを見たさだまさしは、音楽をやっている自分としてはちょっと許せないと、わざわざニューヨークまで行き、ポール・サイモンと面会すると、ポール・サイモンから、
「日本でどういう風に翻訳されたか分からないが、私が言いたいことは “音楽は過去に向かって進行する”。曲と言うものは、作った瞬間がもっとも尊い。生まれた瞬間が最後で、あとは全部過去の話。生まれた音楽が過去になるとき、その音楽が本当の意力を発揮する。」
 と、言われた。さだまさしは、この時、何となく腑に落ちたそうだ。

 そして、後年さだまさしは、
「自分の曲を誰かが語るのを聞いたとき、なにしろ45年歌ってますから、45年前に10歳だった人は55歳になるんですね。そういう人たちが自分の人生を振り返るかのようにボクの歌を大切にね、『あの頃の歌はね』と、語ってくれるのを聞いたとき、ふと思い出したのが、“音楽は過去に向かって進行する” だった」
 と、確信している。

 THE Piratesの皆さん、古き良きロカビリーありがとうございました。遊民族の皆さん、懐かしい思い出の曲を聞かせていただき、ありがとうございました。
(-。-)y-゜゜゜

シンガーソングライター/小説家 さだまさしインタビュー

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